悠久の輝き
漆は、うるしの木からにじみ出る樹液で、強い接着力と艶やかな光沢をもっています。
うるしの語源は「うるわし(麗し」とも「うるむ(潤む)」ともいわれ、水に濡れたような瑞々しい漆の 艶やかさを表したものです。
漆は時間が経つほどに硬度が増し、酸にもアルカリにも侵されない 丈夫な素材で、私たちの祖先は、約七千年以上も前から、食器や装身具、弓矢や甲冑な どの武具、家具や建物までもと、身の周りのあらゆるものに漆を塗って生活してきました。
漆は日本ばかりではなく、朝鮮や中国、東南アジアでも広く使われてきましたが、日本ほど漆を愛用し、漆芸の技を多彩勝高度に練り上げてきた国はありません。 漆はまさしく日本のこころなのです。 |
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最終更新 2008年 11月 13日(木曜日) 10:49 |
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輪島の山林には、輪島塗の木地の材料となるアテ (あすなろ)やケヤキが豊富にあります。能登の厳しい 自然が、材質が均等で耐湿性に優れ、強い粘りのある 漆器の木地として最良の材料を育てました。
切り倒してから3年から5年以上をかけて乾燥させた材料を用い、椀木地、指物木地、曲物木地、朴木地の各専門の木地屋が吟味した材料を丁寧に仕上げるの です。 中でも椀木地は、樹齢100年以上のケヤキを使います。 100年育てたケヤキから採れる椀の数は約100個。 木地師は、成長した木の命を木地に封じ込め、次の塗 りの工程へと託します。100年成長した木を、塗り物とし て100年活かして使って欲しい、輪島塗ならばそれが可能です。
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最終更新 2008年 11月 29日(土曜日) 12:32 |
輪島塗の堅牢さは下地塗から生まれます。
下地塗は、木地の継ぎ目や節などを補正し、痛みやす い部分を補強して、丈夫で緻密な塗肌を作り、器の姿・ 形を整える工程です。木地に生漆を十分に浸み込ませ、椀の縁や高台な ど、木地が薄く割れやすい部分に布着せをして補強します。
下地塗には、「輪島地の粉」と呼ばれる特殊な 土を漆に混ぜて用います。「輪島地の粉」は輪島市内 で採れる良質の珪藻土を蒸焼きし、篩にかけた粉末土 です。微細な孔に漆が浸み込んで固まると、非常に硬 く丈夫な下地層を作り上げます。粒子の粗いものから細 かなものへ一辺地、二辺地、三辺地と数回塗り重ね、 丈夫さと共に緻密な肌を作り上げます。
輪島地の粉を使った本堅地はアテの木で作った木ヘ ラを使います。粘りの強い本堅地を器物の形に合わせ て薄く均一に塗るためには、高度な熟練の技が必要と されます。 |
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最終更新 2008年 11月 29日(土曜日) 12:33 |
上塗は精製した上質漆を数回に分けて刷毛で塗りま す。むらを残さないように適度の厚さに塗ることがコツで、塗ったあとは鳥の羽軸や筆で細かなチリを払います。 塗りあがったものは、漆が垂れないように回転風呂で反 転させながら乾燥させます。
漆塗の仕上げ方には、大きく分けて塗立仕上げと呂色 仕上げの二通りがあります。塗立仕上げは花塗とも呼ばれ上塗をそのまま乾かして仕上げる方法で、失敗の 許されない職人の腕の見せ所です。 一方、塗りあがった上塗の表面を、更に平滑に研ぎ、 鏡のように磨き上げるのが呂色仕上げです。 底艶と呼ばれる奥深い光沢をもつ塗立てと、呂色仕上 げの引き締まった艶。どちらの艶も、長く使い続けると、使い艶がついて光沢が増してきます。
輪島塗は、完成 時が最良ではなく、更に使い込んでますます愛着がわ き、風合いや価値が増すものなのです。 |
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最終更新 2008年 11月 29日(土曜日) 12:33 |
輪島塗の塗りの堅牢さに加えて、もうひとつの大きな特徴は蒔絵や沈金の美しい加飾です。輪島における蒔絵の始まりは、江戸時代文政期に会津より蒔絵師安吉なるものが輪島に移住して蒔絵技法を伝えたことに始まると伝えられます。
明治時代に入り、日本各地の御用蒔絵師が維新によって職を失い、輪島に移住して徐々に蒔絵が盛んになります。 昭和2年、帝国美術展に工芸部門が新設され、輪島からは昭和4年に、後に沈金の人間国宝となる前大峰と竹園自耕が初出品、初入選を果たします。翌年には早くも前大峰が最高賞特選を受賞し、輪島の実力を全国に知らしめます。その後、両氏の門下には多くの漆芸作家が輩出され、輪島塗の発展に大きな影響を与えました。 |
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最終更新 2008年 11月 29日(土曜日) 12:33 |

輪島の沈金技法は、江戸時代享保期に輪島の大工城五郎兵衛が、中国渡来の鎗金作品を参考にして始め、その子専助が京都に絵画を学んで完成したと伝えられています。庶民の実用漆器であった輪島塗にとって、御蒔絵と呼ばれるような豪華な蒔絵は必要とされず、替って沈金が大いに発達したようです。
輪島塗の厚く重ねた丈夫な塗りは、沈金彫りを深く彫り込むことを可能にします。蒔絵に比べて安価に、しかも丈夫に装飾をほどこせる沈金技法は、輪島塗に適した加飾技法として、大きく発展します。
現在、輪島には沈金技法において最高峰と認められた人間国宝、前史雄と、芸術院会員、三谷吾一の両氏がいます。 |
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最終更新 2008年 11月 29日(土曜日) 12:34 |
輪島塗を生んだ輪島の町
輪島塗の起源には様々な説がありますが、現存する最古の輪島塗は河井町にある「重蔵権現本殿の朱塗扉」で、室町時代の作と言われています。
長い時間をかけ、幾世代にもわたって受け継がれてきた技。単に伝統を守るだけにとどまらず、創意工夫を重ね、技を磨く中から「輪島地の粉」を発見し、漆に混ぜるという下地技法が生まれたのです。
常により美しいもの、より良いもの、優れたものを求める。その強い意志をもつ人々が価値を高め、磨きあげてきた輪島塗の歴史は、今後もさらに受け継がれていくのです。 |
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最終更新 2008年 11月 29日(土曜日) 12:34 |
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